若者よ
ある所に、無知で経験も乏しく、力も信用もお金もない、でもハートだけは熱い若者がいたとする。
彼は、「三重県」とか「日本」とか、とにかくモノゴトを広く捉えたがる。
一方で、酸いも甘いも知ってる、経験も力もお金も信用もある、そんなとある大人がいたとして、彼はいつも「自社」とか「地域」とか、モノゴトを小さく捉える。

三重県に戻ってきて感じたことのひとつが、このズレ。
このズレを正さないと、三重県のリブランディングはきっとうまくいかないと思う。

もちろん、若者が大きな夢を追いかけることには大いに賛成だし、大人が足元を大切にするのは、人生は思ったよりも短く、だからこそ意味のない無駄な戦いを避け、大局をしっかりとつかんだうえで、モノゴトをスムーズに動かしていくことの大切さを知ってるからだってことも理解してる。

けれど、実際に問題や課題を解決していくためには、若者はスピード感をもって小さくはじめ、大人は持てる力を発揮して、さらなる巨人たちと戦うことも大事だと思う。
若者が巨人に挑み、惨敗し、諦めることを覚え、うつむいた視線の先で足元の草花に癒され、それを大切に守ることの尊さを知り、世の平和を願いながら余生を送る。
例えばそんな感じだったとしても、でもそれじゃあ問題や課題はなかなか解決できないし、若者が惨敗するのは、ロールモデルとなる大人になかなか出会えないからだし、特に田舎ではその傾向が強いように感じる。

僕自身がそうであったように、いつの時代も、大局が見えてない若者は無謀だし、無知だし、甘いし、うぬぼれてるし、でもだからこそのパワーもあって、こういう熱量をうまく引き出して活用できるシステムや大人が必要だよなあと思う。

ついでに言うと、マーケティングの人達は群れたがり、クリエイティブの人達は孤立したがる。
このズレも問題ですよね。
モノゴトを動かしていくには、どちらか一方ではダメで、ブランディング、マーケティング、テクニカル、プロモーション、ビジネスなどなど、色々な要素が同時に一緒に動かないとなかなか成果は出ない。
大企業ならこれら全てのセクションを持ってるから有利だけど、持たざる者たちはお互いにチームを組んでやるしかない。
問題は、誰もが主導権を持ちたがるから、そもそも大きなチームをつくること自体が想像以上に難しいってこと。
みんな、故郷をもっと良くしたいっていう想いは一緒なのに、人間のエゴが邪魔をする、のかな。
もちろん、僕も含めてですが。

でも、例えば、全ての人が、それぞれ別々の方法でも構わないから、共通の認識や同じ旗印を持って活動することができれば、もしかしたら大局を動かせるかも知れない。
その指針を定め、そのために自分に出来ることを、小さくてもいいし大きくてもいいから、とにかく行動し続けること。
かつて諸先輩方と立ち上げた、「三重基準会議(Mie Standard Conference)」というプロジェクトの目的はそれだったと思うけど、その活動も止まったままだ。

アメリカのことわざ「If every man would sweep before his own door, The city would soon be clean.(みんなが自分の家の前をキレイにすれば、町はあっという間にきれいになる)」っていうのもそういうことだと思うし、こんな簡単なことがこんなにも難しいってこと自体が、一番の問題なんだと思う。

そういえば、アフリカのことわざ「If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.(早く行きたければ、ひとりで行け。遠くまで行きたければ、みんなで行け。)」ってのも、そのどっちかではなく、ちょうどいい塩梅って出来ないのかなあと思ったりもします。


若者よ 君は旅立つ
東へと向かう列車で
華やいだ街で見つけたい
贈り物ってなに?
君が贈りたい物と
相手が欲しい物が
ズレてる限り
うまくはいかないのに・・・
松阪木綿のハンカチーフください
涙で顔が藍色に染まってしまうけど・・・


そして最終的には、僕の奥さんがいつも言ってる、「無理に決めたりまとめたり束ねたりしようとせず、みんなそれぞれが正しいことをして、それがやがて、知らない間に三重県のためになっていればラッキーぐらいでちょうどいい」のかも知れません。
バレンタイン



今年のバレンタインも、娘たち(小4と年長)が手作りクッキーを作ってくれました。
僕にとっては、世界で一番美味しいクッキーです。

もう数年もしたら、どこぞの馬の骨野郎にチョコを渡したりするんだろうなって思うと複雑ではありますが、女芸人な娘たちのおかげで、毎日毎日笑い転げられる最高に楽しい人生を過ごせていることに、こちらこそ、心からありがとうを贈りたい。

まあ、メッセージを読む限り、もっともっと働け、ということだと思うので、老体にムチを打って、まだまだがんばります!
建国記念日



今日は建国記念日。
建国をしのび、国を愛する心をやしなう日。

どうやってやしなうの?と聞きたくなってしまう日に、森さん辞任の意向のニュース。
そりゃそうなるだろうな。
この滑稽な茶番こそが今の日本。
時代が終わり、時代は変わり、時代が始まる。

いつの時代も、若者たちは言う。
こんな腐った時代に、
こんなクレイジーな国に、
なぜ僕らは生まれてきたのか、と。

でも、
戦争を知ってるおじいちゃんとおばあちゃんが今でも生きていたなら、きっとこう言うだろう。
昔に比べたら「今」はずいぶん良くなった、と。
世界中で繰り返されてきた真っ黒な歴史の証人たちも言うだろう。
「今」の一体何が不満なのか?と。

生まれた時から身分が決まっていた時代。
肌の色だけで、まるでゲームのように簡単に殺される時代。
自由に恋愛ができなかった時代。
結婚相手を自分の意志で選べなかった時代。
平均寿命が30代だった時代。

人を殺し、女性を犯し、動物を迫害し、自然を壊し続けてきた人類。
今でもそれはゼロではないけど、でも「ずいぶん良くなった」のは確かだろう。

「昔」の中でしか生きれない人達には、さぞ「今」は生きにくい時代だと思う。
こんなにも便利で豊かになったのに、「昔」を恋しいとさえ思うだろう。

子どもの頃に腹を抱えて笑い転げた経験があれば、人はその時の中で一生をさまよう。
どんなに貧しくとも、どんなに不便であっても、笑い転げたその「今」を、人は決して消し去ることができない。
一瞬で心を奪われたあの恋から、何年も何十年も離れられなくなるみたいに。
だから僕は、「時代」の匂いに誘われて、古い車や物に惹かれてしまうのだろう。

ついていけない自分を認めず、ついていかない道を選ぶ。
それが悪いわけじゃないけど、だからって「昔」を持ち出すのはセンスが悪い。
今頃森さんはぼやいてるだろうな。
あの頃は良かった、と。


でも、それでも、「今」を生きよう。
ちゃんと「今」を、最高にしよう。

娘たちにはこう言ってあげたい。
完璧にはほど遠いけど、それでも「今」が一番、最高の時代なんだよと。
そう言える時代でなければならない。
そう言い切れる自信がないからこそ、そうであってほしいと願う。


さあ、今を生きよう。楽しもう。
今日も子ども達と一緒に、笑い転げよう!
きっとそれが、「建国記念日」の正しい過ごし方だと思うから。
サファリ







先日、新しい相棒が我が家に仲間入り。
僕がまだ「日産」というブランドが好きだった頃の車。

31年前(1990年式)の車ですが、現在の走行距離は6万キロ代なのでまだまだ走れます。
今後、ノーマルのデザインの良さを台無しにしない程度に少しずつ手を入れていきたいと思います。

ニュー相棒よ、これから一緒に楽しい思い出をたくさん作っていこう。
どうぞ末永くよろしくね。

そして、現在の日産自動車の中の方々へ。
「やっちゃえ日産」なんてズレまくったことを言ってる場合ではありません。
あなた達は、こんなにも楽しい車を作れる力を持っているのです。
どうかそのことを忘れないでください。
DESIGN THINK ABOUT



東京で16年過ごし、故郷の三重県に戻ってきてから8年。
色んな人のおかげで、様々な案件に携わらせていただいてきて、伊勢志摩サミットの時も大事な役目を与えてもらえたりしたけど、僕レベルのデザイナーなんて世の中にそれこそ無数にいるわけで、もっとすんごいデザイナーが若い人の中から現れてくれないと、「三重県」のブランディングは成功しない。

だから若手を育てようと動いてきたけれど、その活動の中で痛感したのは、三重県から外へ出たクリエイター達に、三重県でもこんな面白いことができるんだよ、いつか三重県に戻ってきてね、と堂々と言える何かが必要で、彼ら彼女らの才能を思いっきり発揮できる場を、まずはここにいる僕らが作らないといけないよなということ。

今の三重県のままじゃ、戻ってきたいと思えなくても仕方ないもんね。
戻っても才能を無駄にするだけ、戻って何をするの?って実際言われたことあるし。


そのために今年は、三重県内で3つのプロジェクトを立ち上げる。
そして、そのためにも、僕はまだまだ学ばないといけない。

だからまずは、毎月最低でも1人ずつ、日本全国の大好きなクリエイターさんや各分野の専門家さん達に会いに行って、デザインの視点で、デザインのことや教育のことや色々な話を聞かせてもらって学ばせていただこうと思う。

もちろん、リモートでもいいんだけど、その場の空気を感じたいし、その人のゆかりの地やルーツも見てみたい。
で、せっかくだし、その対談の話を聞きたいと思う人もきっといるだろうから、それを動画で撮影して配信できたらいいなと。

どうせならこの行脚にも名前をつけたいなと思い、「DESIGN THINK ABOUT」に。
なんだかおかしな英語だけど、それはまあいいとして、基本的には緊急事態宣言が出されていない地域の方から会いにいきたいと思います。

まずはやっぱり、大好きな真喜志さんに会いに沖縄からスタート、がいいなあ。
沖縄の方、渡航費の足しになるような沖縄での案件があったらぜひご紹介ください(笑)!

詳細はまたご報告させていただきますが、同行メンバーも募集してますので、ご興味のある方はご連絡を。


さあ、今年は動くぞ!
もちろん、コロナ対策は万全に。
新年あけましておめでとうございます。



新年あけましておめでとうございます。
今年ももう3日が過ぎてしまいました。
早い。
この調子だと年末までまたあっという間、ですね。

今年の正月収めは高見山。
明日から仕事再開します。


今年の抱負は、
とにかく健康的な生活を送り、
納期を守り、
デザインにもっと真面目に取り組む。

人に優しく、
誰かの役に立つことをたくさんして、
なるべく笑顔で。

出無精もデブ症も改善し、
想像力と創造力をさらに磨く。

デザインにこだわり、
でもデザインに縛られず、
やりたいことをやりたい人とたくさんやって、
全力で日々を楽しむ。

そして今年も、
僕を求めてくれる人のためだけに生きて、
仕事して、
その人達を幸せにする。

汚れ役も喜んで引き受けて、
表通りも裏通りも選り好みせずにスキップで進む。

批判も評判も気にせずに、
作品ではなく商品作りに勤しんで、
マイクが来たなら微笑んで、
十八番を一つ歌うだけ。

飾った世界に流されず、
好きな誰かを想いつづける、
時代おくれの男になりたい(?)。


今年もたくさんの出逢いと別れがあるでしょう。
なりふり構わず時々後ろも振り返りながら、
たまにはセンチメンタルな遠い日の花火に心を預けてみたりして、
泣きたい時には泣いて、
笑いたい時にだけ笑って、
自分の中の流儀を信じ、
師匠に恥じぬデザイナーであるために、
腰を据えて懸命に生きる。

2021年も、あいかわらず来るもの拒まず去る者追わず。
いつまで経ってもつかめないデザインの尻尾を、
それでも腐らずに追い続けます。


本年も、あたたかーい眼差しで、よろしくお願いいたします!
FUJISAN



今日はここからスタート。

さあ、今日もがんばりましょー!
モンスターブランド



次女が描いた落書き。

「ブランド」とは、全く全然どう見ても似ていないのに、それが何を表現したものかが一瞬でわかってしまうコトやモノ。
ましてや、年齢も性別も問わず、とくれば、それこそが、唯一無二のモンスターブランドだ。

デザイナーとして、今までにたくさんのロゴやパッケージや広告をデザインしてきたけど、そこにはどうしても、僕のデザインのクセやヘキが出てしまう。
アーティストとしてならそれでいいとしても、デザイナーとしてはいかがなものか?と時々悩む。

ここ10年くらいは、右を見ても左を見ても、ブランドだのブランディングだのの時代。
本も記事もセミナーも、それこそ会話の中にもこのワードがしきりに出てくる。

だけど、誰もがモンスターブランドになれるわけじゃない。
近道も魔法も唯一の正解もない。
コツがあるとすれば、「今の100%」を常に出し切ること。
背伸びも誇張もいらない。
デザイナーが0%を100%にしてくれるわけじゃない。
大事なのは、「今の100%」。

同じ「100%」でも、容量や面積や温度や体積はそれぞれの人や企業で異なる。
だけどそれは大した問題じゃない。
そこに「20%」のエッセンスの粉を振りかけて、120%にする。
それを積み重ねた先にだけ、そのドアは現れる。


いつの日か、こんなモンスターブランドを手がけてみたい。
次女が描いた落書きを眺めながら、「日本」が目指すべき、そしてなるべきブランドは、まさにコレだよな、と思った。
長女の誕生日



12月10日は、長女の10歳の誕生日でした。
そしてそれは、僕と奥さんが初めて人の「親」になって10年の記念日でもあります。

いと(長女)、楽しい10年をありがとう。
サンタなんかいない、あれは親がやってる、と言ってきた同じクラスの男の子に真っ向から反論してみせた君を誇りに、そして愛おしく思うよ。

君の想像力と創造力にはいつも驚かされてる。
だからまあ、算数が苦手でも、それはそれで、まあいいか。
午前2時



いろんな事情やら訳やらがあって、六穀米に使われている6つのお米の撮影にサンプルが間に合わず、急遽、手作業で6種類に仕分けすることになった、たったひとりの午前2時。

今日はもうさんざん仕事してヘトヘトなのになあ・・・。
太陽が昇るまでに終われるかな。
明日もやることいっぱい。
ああ、目も体も痛い。

とにかく、イヤホンでトーキング・ヘッズを大音量で聴きながら乗り切りたいと思います。
岐阜県産品ブラッシュアップ事業



今回、岐阜県のブラッシュアップ事業にて、セミナー(2回)と商品選考委員を担当させていただくことになりました。

岐阜県にも素晴らしいモノづくりの人達がたくさんいます。
どんな人やモノと出会えるのか、今からものすごく楽しみです!


今回の事業をきっかけに、その後も岐阜県のモノづくりの発展のために尽力していければなと思いますので、岐阜県の皆さん、末永く宜しくお願いいたします!


▼岐阜県産品ブラッシュアップ事業概要
https://www.pref.gifu.lg.jp/site/pressrelease/106040.html
朝・天慶翠澄



本日、11月16日は、「朝(あさつ)」シリーズの新商品の発売日!
今回の朝(あさつ)は、シャープなノドごしが特徴のキリっとタイプのお酒。
その名も「朝・天慶翠澄(あさつ・てんけいすいちょう」。
日本酒には珍しい、緑のラベルが目印です。

早速お飲みいただいた方々からも、落ち着いた味で、かつ、ちゃんと香りが立っていて、美味い!と高評価をいただいております。
ぜひ、ご賞味くださいませ~!


▼以下のお店でご購入いただけます。

福田屋酒店(四日市)
山形屋酒店(亀山市)
マスダ(津市)
ナガタヤ(伊賀市)
ニコマート(伊勢市)
酒のあおき(伊勢市)
田所酒販(伊勢市)
べんのや酒店(志摩市)
KANPAIISESHIMA(志摩市)
モニカ病の正体



ここ1~2年の間、ずっと悩まされてきたある症状の病名と原因がようやく判明。
浅い眠りの時にお尻の穴を中心にお尻全体に痛みが広がって、トイレにいくとかそういうのではない、でもすごく痛い、これ何だ?って症状の正体は、「特発性肛門痛(肛門疝痛発作とも言う)」というものらしい。

で、結局原因はストレスと。

頭皮神経痛に後頭神経痛、そこへ今度は特発性肛門痛が仲間入り。
しかも全部、ストレスが主な原因とかなんとか。
まあ、根本の原因が何なのかは自分なりにはわかってるけど、職業病のひとつでもあるんだろうな。


刺激のない平穏な日々が悪いわけじゃないけど、心が体を通して必死に伝えてきてる。
けど、体を通す前に心の声が聞けるようにならないと体がもたんな。

ストレスをやっつけるか、それとも、ストレスを減らすか。
簡単なようでどっちもそんなに簡単なことじゃない。


とにかく、星野源さん、安住紳一郎さん、教えてくれてありがとう。

皆さんも、気をつけなはれやー!


▼安住紳一郎アナ「特発性肛門痛」の“先生”星野源に感謝「助かりました」
https://bit.ly/31Gthqb
おっさん2人のサシ飲み



30年来(陸上部時代の良きライバル)の友人と久しぶりのサシ飲み。
基本、用事があったり誘われたりしないと外に出かけない僕なので、唯一誘ってくれる彼の存在はありがたい。
まあ、誘ってくれるのが女性じゃないのが残念ですが、たまにはおっさん2人で飲むのも悪くないですね。

また誘ってねー。
コマーシャル・フォト



現在発売中の雑誌「コマーシャル・フォト 2020年11月号」にて、僕の活動を少しだけご紹介していただきました。
逆光が眩しくて細い目がさらに細ーくなってますが、まあこれもまたリアルってことで。

では、今日もがんばりましょう。
バリカン



もう20年近く、髪はバリカンで自分で切ってる。
楽だから坊主頭にしたいけど、ますます人相が悪くなって仕事に支障が出るという理由で奥さんからNG。

バリカンも今ので2代目か3代目か。
たくさんついてたアタッチメントの中で、結局使うのは3つだけ。
お店で切ったほうが楽なんだろうけど、三重県に戻ってからも行きつけのお店をまだ見つけられていない。

そろそろ今のバリカンも動きがおかしくなってきた。
買い替えか、この機会にお店で切るか。

悩んだ末、たぶん買い替え、だな、やっぱ。
年男
ねずみは「寝ず身」と言われ、ねずみ年の人は寝る間も惜しんでコツコツ働き続けるんだそうです。
どうりで(笑)。

でも、なんで大金持ちになれないのでしょう。
またあの人に「仕事をちゃんと選ばないからでしょ!」って言われそう。

でも、20年前に、美大も芸大も出てない僕が、ましてやデザイン業界での経験もないのにデザイン事務所を立ち上げて、それでも仕事をいただけたあの頃の喜びがこびり付いてて、たとえ新人デザイナーよりも低いギャラだったとしても、普通ならひとりで抱えられる案件の量をはるかに超えていたとしても、依頼された仕事を全部受けてしまうのは、癖というか性分というか、もう仕方のないことなのです。


今年は子年。
つまりは年男。

次の子年までのラスト1週は、仕事をちゃんと選んでいければと思うけど、こんな僕にお仕事を依頼していただけることには、引き続き、感謝をしていきたいと思います。


事務所を立ち上げて、今年でまるっと20年。
ラスト1週。
踏ん張りどころ。
美人なしぐさ



デザイナーとしての僕を救ってくれた憧れのデザイナー、柳宗理さんはかつて、「本当の美は生まれるもので、つくり出すものではない」と言った。
デザイナーである僕らは、言うなれば産婆のように、「本当の美」が生まれやすくなるように導き、手助けをする役目でもある。
僕がいつも心に留めてる「指針」のような言葉のひとつだ。

一方で、良し悪しは別として、「美しい」という「印象」は、徹底的に細部にこだわり抜くことで表現することならできる。
ズボラでガサツな人より、言葉や所作が美しい女性に惹かれるのは、デザイナーならごく自然なこと。
もちろん、過剰で、演出じみた嘘っぱちの所作はたちが悪いし、ズボラでガサツだけどかわいい人っていうのもごくごく稀にいるけどね。


僕らデザイナーは、日々、広告で、文字で、レイアウトで、造形で、この「美しい」という印象の表現に挑み続けている。
男の色気、女の色気、人の色気。
車であれ、道具であれ、料理であれ、色気は細部に宿り、その蓄積によって醸し出されるもの。
本物の色気は決して隠し通せない。

どうすれば「美しい」を正しく表現できるのか。
そもそも「美しい」とはどういうことなのか。

そんな「美しい」という印象を完璧に表現できるデザイン力が欲しい。
パイクカーシリーズ



Be-1、パオ、エスカルゴ、フィガロ、ラシーン。
日産のパイクカーシリーズは輝いてた。
今でも、日産のパイクカーシリーズに乗ってる女子を見ると、もうそれだけで惚れてしまう。

日産はまた、マイクロソフト対マイクロソフトの戦いに突き進んでしまった。
マイクロソフト対アップルの構図にしなければ、トヨタにはきっと勝てない。
車のデザインも広告もCMも、全てが迷走の現れ。

奥さんの最初の車もBe-1だった。
あの頃の日産が恋しい。
草枕



山路を登りながら、ふと思った。
仕事や学業において優秀であればあるで角が立ち、情を持ちすぎてもそれに流されてしまう。
かといって、自分は自分と意地を通せば、余計な敵や対立を生み出し、なお窮屈になる。
人の世とは、どのみち、とにかく住みにくいものだ。

あまりにも住みにくいと感じれば、もっと良い場所へ引っ越したくなる。
でも、どこへ引っ越しても、所詮は同じ。
結局はどこに行っても、住みにくさは変わらないなと悟った時、詩が生まれて、絵が出来る。

人の世を作ったのは、神様でも鬼でもなく、所詮はただの弱き人間。
ただの人間が作った人の世が住みにくいからといって、ほかに良い場所などあるわけがない。
もし、そんな場所があったとすれば、それは人間ではない誰か、例えば鬼が作った国かも知れない。
であれば、そこはきっと、人の世以上に住みにくいに違いない。

そこがどこであれ、全てを自分の思い通りに出来ないのなら、そこが少しでも住みやすい場所になるように努力し、工夫するべき。
そのために、だからこそ、詩人や画家や文化が必要なのだ。

あらゆるアーティストやクリエイターの使命は、くだらない世の中を、少しでも良くするために、人々の心を豊かにすること。
だからこそ、尊い。
くだらない世の中から、くだらないモノやコトを消し去り、隠れて見えなくなっていた世界の真の美しさを、ありのままに映し出すのが詩であり、絵である。
または、音楽やアートも。
もちろん、詩人や画家のように、形にできなくても構わない。
ただありのままに、あなたの心の向くままに見つめれば、そこに詩が生き、歌が生まれる。



これは、夏目漱石が遺した「草枕」の冒頭の言葉(の僕なりの現代語訳)。
いくら時代が進んでも、変わるものがあれば、変わらないものもある。
100年しか生きられない僕らにとっては、今のこの世の中が全て。
今の時代が最高!と言うべきだろうが、そう言える確証はどこにもない。

でも、アートがある。歌がある。デザインがある。
文化は心を豊かにし、ただの景色を風景へと変えていく。
下品で汚い都会の夜の景色も、タクシーの後部座席から、ヘッドフォンで「ラストクリスマス」を聴きながら眺めれば、たちまちそこに、ロマンスの香りが漂ってくる。
単純で愚かでも、詩や歌は時に、ただの人をアーティストに変えてくれる。

文化が育たなかったら、世の中はどうなってしまうだろう。
夏目漱石の期待に、今のアーティストやクリエイター達は応えられているだろうか。


「あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。(原文)」


いつまでも、そうあってほしい。
そして僕も、そうありたい。