ヴィンテージ松阪木綿



松阪木綿は、天然の藍で染める本藍染の織物なので、当然、経年変化(色落ち)していきます。
日焼けや蛍光灯の光をあびても色焼けします。なので、サンプルで展示してある商品とストックしてる在庫の商品では、色が異なることもあったりします。

委託での販売はしていませんが、何年か前までは、1~2カ所は委託販売もありました。
その時も、数ヶ月経ったあとに商品が返されてきて、すでに完全に色あせしてるので商売物にはならず、ハギレにしてプライベートなものを作ったこともありました。

ですが、その色落ちこそが、最大の魅力なのかも、と思わせてくれるほど、年々と色あせ、それに比例して愛着が増し、世界にふたつとない松阪木綿が創られていきます。
もうすぐ発売から10年を迎える、丸川商店の最初の商品である、10年日記帳の日事記(ひじき)も、僕が使っているものはいい感じで色あせてきてます。
袋物もがま口財布もいい感じの状態です。
東京スタッフが使っている百人帳なんて、すんごくいい感じの状態です。

これまでの常識でいけば、色あせた松阪木綿は売り物にはなりません。
新品は新品の色の状態でなければならないわけです。
でも、僕はずっと思っていました。
この色落ちバージョンが欲しいと思う人がいるのではないか。
いくら色落ちしても、丈夫な松阪木綿は、糸がほつれたりすることは滅多にありません。
物としてはまだまだ使えるのに、もったいないなあと。
最初は、サンプル品として使っていたものを安くして売ろうかと考えたこともありましたが、それはやらないほうがいいと判断してやめました。

そういうわけで、長年の想いを形にすべく、「ヴィンテージ松阪木綿」を商品化できないかと思い、昨年から動き出しています。
あらかじめ、ある程度、色を落とした状態で販売する予定。
うまく行くかどうかはわかりませんが、とにかくやってみます。
ててて見本市2016 終了





「ててて見本市2016」も無事に終わり、松阪へ戻ってきました。
近くで開催されていたギフトショーものぞけたし、今回も色々と考えることがあった時間となりました。

ほかの出展者さん達の商品を見ていると、うまく自分達のカラーを見つけてるなあと感心するものもあれば、ただキレイにまとめようとして結果的につまらないものになってしまっているものとかもあり、デザインの難しさを改めて感じました。
そういう目で自分達の商品を見返して見ると、当然ですが反省点も多々見えてきます。
本当にまだまだだなあと少しへこんだりもしますが、それらを次へと活かしていければと思っています。

そもそも「ててて見本市」というイベントはバイヤーさん相手の見本市なので販売はしません。
なので、当初は、もっと商品や見せ方を絞りきって、それでも「匂い」を嗅ぎつけてくれるバイヤーさんを見つけたいと思っていましたが、やはり、出展料や出張費や人件費などのコストもなかなかのものなので、変な色気を出してしまいます。

で、やっぱりというか、案の定今回も、そこをすんごく後悔。
もっともっと絞りきって、なんなら商品1個とかの展示にしてしまえばよかったかなあと、そういう弱いところが恥ずかしくも感じました。
でも、商売ですからねえ、仕方ないのかも知れませんが、ブランドを育てるってことは、そういうことだからなあ。

ああ、難しいですね、ほんと。
ただ、会場に来られていたバイヤーさん達を見ていると、そういう「匂い」を探しているバイヤーさんはあまりいなかったように思います。
バイヤーさん自体の年齢層が想像以上に若かったというのもありますが、もしも絞りきって勝負に出ていたら、空振り三振の完敗だったかも知れませんね(笑)。

丸川商店の商品は、決して、多くの人に対して大ヒットするような商店ではありません。
でも、少ないかも知れないけど、誰かにとっては、心にささる、ほかにはかえられない商品でありたいし、これからも、そういう商品を作っていきたと思っています。
「メーカーから消費者へ」ではなく、「私からあなたへ」というモノ作り。

ギフトショーに行くといつも感じるのは、そこにあるのは「心を届けるギフト」ではなく、「すぐにゴミになるのがわかりきっている」ものばかりです。
だからこそ、近年はそれを変えようとがんばっている人達がいるわけですが、残念ながらまだまだ大半はそんな感じです。
そういうモノ作りだけは絶対にしたくありません。
そうそう、ホテルと会場を行き来する電車の中に貼ってあった転職サイトの広告に、こんなコピーが書いてありました。
「面接官の質問に答えることよりも、面接官に対してどんな質問ができるか」みたいな。
バイヤーの質問に完璧に答えることも大事なことだけど、バイヤーに対してどんな問いを見せられるかも、モノを作る者として、とても大事なことだなあと、なんとなく思いました。


もちろん収穫もたくさんありました。
中でも一番の収穫は、やはりスタッフの成長です。
丸川商店にきてまだわずか2年の彼女ですが、健気に、献身的に、全力で丸川商店を伝えようとしている彼女を見ていると、本当に頼もしくなったなあと感じます。
バイヤーさん相手に接客しているその後ろ姿をずっと見ていて、この子にとって、もっともっと誇れるブランドであり続けるためにも、僕がもっともっと、正しいデザインを身につけていかなければいけない、もっともっとがんばって、誰かの「心」を届けるモノ、ほかにはかえることができないモノ、そういう、正しいものを正しくみせていけるデザイナーでいなきゃいけないなあと強く強く感じました。
彼女に、丸川商店に来て良かったと、もっともっと思ってもらえるような、そんなデザイン。
誰に何を言われようと、堂々と胸を張っていられるデザイン。
誰かにとって、大切な人へ贈りたいと思ってもらえるような、そんな、丸川商店らしいデザインを。

今後また、新しい出会いが、どこでどんな風に待っていてくれるのかはわかりませんが、その時こそ、空振り三振を覚悟で、あ~、丸川商店らしいなあと思ってもらえるような、そんな出会い方ができたらいいなあと思います。

その時を、楽しみに。
FMせたがや



今日は、FMせたがやの番組出演から1日がスタート。
今日も東京は良い天気です。
保田商店さん



今回、同じイベントに出店されていた、桑名のもち小麦の保田商店さん。
はじめて知りました。