未来は自分で創れる



その昔、友人と飲食店を立ち上げた。
客足は順調だったし、売上も伸びてたけど、僕は、ある問題を重要視して、オープンから5ヶ月目に、店を閉めることを提案した。
彼は首を振らず、その後も何回も話し合いをしたけど、彼の意見を尊重して、営業を続けることにした。

でも結局、オープンから9ヶ月目に、店を閉めた。
借金だけが残り、それ以外にも色々なものを失ったけど、不思議と今は、少しも後悔していない。
店を閉めたことも、店を始めたことも、全部。


高校野球で、佐々木投手を登板させなかった監督がめちゃくちゃ叩かれてる。
弱った者をここぞとばかりに叩きまくって気を晴らしてるクソ野郎共には心底吐き気がするけど、今回の監督の決断が正しかったかどうかなんて、今の時点では誰にもわからない。

店を閉めるかどうかでさえ、毎日のように悩んだのに、溢れんばかりの可能性を秘めた少年の、これからの人生を左右しかねない決断なんて、気が狂いそうになる。

ゲームを続けるのか降りるのか、タオルを投げるのか投げないのか、その判断はとてつなく難しいし、それを判断しなければいけない立場の底なしの苦しみは計り知れない。
この監督は、とても勇気がある人だと思う。
でも、だからといって、正しいかどうかは、判断できない。
今回の件が、正しかったのかどうかは、その後の佐々木投手の生き方によって決まる。

人生は、挑戦と選択の積み重ねで出来ていて、過去の意味は、未来の在り方で変わるんだ。
これで腐ってしまったら、それは間違っていたってことかも知れないし、今回のことを糧にして更に飛躍していけば、正解だったといえる。


未来は自分で創れる。
デザインはそのためにある。
何をしないか
それがどんな業界であれ、僕が尊敬するトップランナー達はみな、「何をするか」よりも、「何をしないか」の明確な意思があり、ぶれてない。
柳宗理や三宅一生がしないこと、坂本龍一や山下達郎がしないこと、明石家さんまや松本人志がしないこと、中井貴一や樹木希林がしないこと、三浦知良やイチローがしないこと、などなど。

人の「質」を計るとき、その人がどんなコミュニティに属しているか、その人のまわりにどんな人達が多くいるか、そういうことも判断材料になり得る。
特に、奥さんであれ、恋人であれ、パートナーであれ、一番近くにいる人がどんな人であるかは、その人の属性をはっきりと示していると思う。

もしもあなたが、自分の「質」をより良くしたいと思うなら、自分がどうありたいか、どんな自分になりたいか、まずはそのビジョンを明確に持つこと。
その上で、それを叶えるためにはやっぱり、「そういう人達」といる時間をより多く持つことが大切だと思う。
最初は不釣り合いでも、場違いでも構わない。
やがてその環境が、僕やあなたの「質」を育てる。

尊敬する人や目標とする人が「しないこと」を、まずは真似て、自分も「しない」。
そのあとで、なぜ「しない」のかの理由と本質を徹底的に考える。
理由なんて、あとから考えればいい。

服装や持ち物ではなく、人やメディアの評価でもない。
かっこいいとチヤホヤされてる人よりも、その人をチヤホヤしてる側の人の「質」をよく見ること。
キレイな言葉に騙されず、常に本質を見抜ける人になるためには、「何をしないか」の観察がとても大切なんじゃないだろうか。