デカ過ぎる夢



今日は、オーストラリアのバイヤーさんを、松阪木綿の唯一の織元へご案内。
これまでに軽く50人以上はご案内しているが、今年に入ってからは初めて。

僕はここへ来る度に、松阪木綿を再興しようと決めたあの頃の、ちょっと気負い過ぎくらいの想いを改めて噛みしめる。
そして、これまでの道のりを振り返って、宿る真の魅力や価値を「正しく」伝えていくことの難しさに肩が重くなる。
やっぱりまだちょっと、気負い過ぎてるんだろうな。
それじゃダメだ。
もっと自分達が、もっと楽しんでいかないと。
結局いつも、最後はそう思う。
そんなことを繰り返してきた。

バイヤーさんからいくつか質問をされて、もう自分でもちょっと忘れてたデカ過ぎる夢のひとつを思い出した。
2008年に丸川商店というブランドを立ち上げた頃、松阪木綿の現状に大きな危機感を感じたあの頃、その他の伝統工芸もまた、同じように喘ぎ苦しんでいる状況に胸が苦しくなったあの頃、何も考えずにフライングで人に言い放った夢。

「いつか、日本の伝統工芸を継承しようとがんばる若い奴らと力を合わせて、共同で、ニューヨークとパリとロンドンに、小さくてもいいからショップを出すんだ」、なんて。
アホかも知れませんね。

でも、そう言い放ったあの頃の自分は、結構キライじゃない。
無謀だし世間知らずだし無知にもほどがあるけど、その夢が叶う方法を、また探してみたくなりました。
悪いクセです、ほんと。
時代は変わる
清澄白河に事務所を構えたのが、2006年。
その頃の清澄白河は雰囲気だけがものすごく良くて、でも本当に何もない町だった。

もちろん、すでにヨーガンレールもあったし、小山登美夫ギャラリーも有名だった。
でも、東京の人に「清澄白河」と言っても知らない人が多い時代だった。
名物と言えば、清澄庭園かお相撲さん達がフンドシで闊歩してる光景くらい。

カフェもなかったし、駅前にファーストフード店すらなかった。
それがいつの間にか、コーヒー激戦区だとか、注目のスポットだとかになっている。
で、極めつけはブルーボトルコーヒー。
時代は変わるもんだなあ。
ちょっと先取りし過ぎたかな。

http://wired.jp/special/2015/bluebottle/