完コピ



音楽をやってた頃、来る日も来る日も好きな曲やヒットしている曲を色々な方面から分析して「完コピ」した。
コード進行やアレンジや歌い方には、それぞれのアーティストのクセがある。
その作業は、自分の技術のレベルを確実に上げてくれたと思う。

デザイナーとして駆けだした頃も、同じように好きなデザイナーや作品を自分のパソコンの中で再現してみた。
タイトルはなぜこのフォントなのか、ロゴのこのカーブにはどんな意味があるのか、レイアウトを逆にしてみたらどうなるのか。
それこそ、来る日も来る日も。
そしてそれはまた、デザインの学校にも行っていない、どこかのデザイン事務所に勤めたこともない我流の自分の技術のレベルを確実に上げてくれたと思う。


全員とは言わないけど、今の若いデザイナー達は、あまり「完コピ」をしないらしい。
いきなり「オリジナリティ」を追い求めて、もしかすると、そうしなければいけないと思い込まされたのかも知れないけど、結果的に出来上がったその「オリジナリティ」は、アートと呼ぶなら許されても、デザインと呼ぶには値しない。

「完コピ」をしない理由は明白だ。
彼ら彼女らにとって、「完コピ」は恥ずかしい行為であり、かっこ悪いことであり、面倒くさいのだ。


柳宗理氏がデザインしたバス停の写真を何度も何度もトレースしてた自分にとって、なぜそのカーブでなければならなかったのかは、どうしても知りたいことだった。
岡本一宣氏がデザインしたポスターを自分のパソコン上で再現してみて、どうしてその色を選んだのかを全身で理解したかった。

技術力を上げるには、「まずは完コピ」が欠かせないと今でも思う。
僕のそれは、例えばピンタレストで探してパクる行為とは意味が違う。
技術うんぬんよりも、その理由や意味を知りたかったのだ。

それとも、もうそんな時代ではないってことなんだろうか。
BGM



今日の仕事のBGMはrycooder。
曲先



22年前、音楽プロデューサーになりたくて上京した頃、明けても暮れても曲を作ってた。
曲を作る場合は、詩先(詩から先に作る)と曲先(曲から先に作る)にわかれる。
僕の場合は、ほとんどが詩先の作り方だった。

今になって思うと、詩先で作った曲は、なんて言うか、「言い過ぎてる」感がすごい。
とにかく言葉で伝えよう、言いたいだけ言いまくろう的な、暑苦しさが満載な感じで、ちょっと恥ずかしい。

曲先の場合は、すでに「枠」が決まっているので、言いたいだけ言いまくるのは難しい。
結果、言葉数を削り、言葉を厳選して詩をつけていく。

デザインにも、多くの制約がある。
その中で、最もベストだと思うものを生み出す。
だから必然的に無駄をそぎ落とし、結果的にシンプルになる。
でもそのほうが、より「刺さる」ことは、経験上、身に染みてる。

あの頃の僕が、デザインをわかっていたら、きっとほとんどの曲を、曲先で作ったと思う。
d design travel 高知号



2015年から記事を担当させていただいている、デザインの目線を持った観光ガイドブック「d design travel」の最新号「高知版」が完成!

暮らすように現地を旅して作られた今号も圧巻の情報量で、読み終わった後の充実感が半端ないです。

巻末の三重コーナーでは、陶芸家・内田鋼一氏が設立した「BANKO archive design museum」をご紹介しています。

それにしても、高知県、魅力ありすぎ!


▼d design travel
http://www.d-department.com/jp/d-design-travel
デザイン事務所の合併
本日も、三重県志摩市へ。

志摩市の酒蔵さんの素敵な夢に乗っからせていただけることになって、ワクワクしてる今日この頃です。
色々とお話を聞いていると、次々と閉めていく酒蔵の現状や、後継者が見つからずに疲弊していく農産事業者の実情を教えていただき、さすがに僕も、三重県の食文化に対する強い「危機感」を感じずにおれません。

この酒蔵さんは、もう何年も前から打開策を模索し、活動を続けてこられました。
そこで感じるのは、「チームの力」です。
ひとりではなく、チームで戦う。
「子ども達に残してあげたいモノ」を守り、育て、つなげる。
狭い商圏で、客を奪い合うのではなく、ひとり勝ちよりも、全体的な底上げこそが重要なんだと僕も思います。
そのための、今回の新しいプロジェクト。
ワクワクしないわけがありません。

さて、いつものことながら、これをデザイン業界に転換して考えてみるわけです。
特に地方のデザイン業界も、割と「個」の単位で活動をしているところが多いわけで、言ってみれば、狭い商圏で客を奪い合っているのは、この業界も同じなわけです。
作家性の強いデザイナーさんは、チームよりも個が合います。
それを否定するつもりはさらさらありません。

でも、これまで三重県では実現されてこなかったことを実現していくためには、「チームの力」を考える必要性があるのかも知れません。
方法はいくつかあると思いますが、プロジェクト単位でデザイン事務所同士が連携することはすでによくあることです。
もっと根本的な策として、もしかしたら、「デザイン事務所の合併」も有効な手なのかも知れません。

小さい事務所同士が、それも、それぞれの長所を活かし、それぞれの短所を補える合併は、案外ありなのではないかと感じます。
うちで言えば、グラフィックデザインを専門にしている事務所と、ウェブデザインを専門にしている事務所とは相性が良さそうです。
そこに、うちのような、デザインコンサル的な仕事が中心となる事務所が加われば、実現できることは増えそうな気がします。
ロスや非効率を解消できるかも知れないし、共に学び、成長していくにもメリットが多いでしょう。
さらにそこに、建築関係や印刷関係、営業関係や経理関係の個人的な事務所も加われば、さらに面白いことができそう。
全然関係のない業種、例えば飲食とか服飾とかの事務所も加わる、とかもすごく面白そうです。

もちろん、簡単な話ではないし、デメリットもあるはずです。
これまであまり実現されてこなかったのには、ちゃんと理由があるはずです。
でも、世界最大のデザイン・コンサルティング・ファームである、あのIDEOだって、もともとは3つの小さなデザイン事務所が合併してできた会社です。
それからのIDEOが世界に与えたインパクトや良い影響は、デザイナーなら疑う余地がないでしょう。
世界規模とは言いません。
三重県というサイズ感だとしても、十分なメリットをもたらすことが出来るのではないか、と思うんです。

昔から、マーケティングの人は群れたがり、ブランディングの人は孤立好き。
デザイン事務所は、ブランディング側が多いでしょうから、なかなか進まないのもある意味仕方ない。
それでも、ちょっと本気で模索してみようかな、と思います。
ヨシタ兄ちゃん



ヨシタ兄ちゃん、見っけ!

僕が死ぬほど憧れたデザイナー、柳宗理さんの最後のお弟子さん。
ヨシタ手工業デザイン室さんの生み出すプロダクトは、
見た目の美しさはもちろんのこと、とにかく使いやすい!
うちでもずっと愛用してます。
メアリーオリバー



Tell me, what is it you plan to do
with your one wild and precious life?

聞かせてください。
そのたった一度の、ワイルドで貴重な人生を、
あなたはどのように生きるつもりですか?
(メアリー・オリバー/詩人)


教えてください。
このたった一度きりの、クリエイティブで大切な人生を、
僕はどのように、デザインしていけばいいのですか?
横山展望台



今日は三重県志摩市での打ち合わせのついでに、久しぶりに「横山展望台」に立ち寄ってみました。

気の遠くなるような長い年月を重ねて生まれたリアス式の美しいうねりをぼーっと眺めながら、
自分にとっての「長く続いてほしいモノやコト」について考える、良い機会となりました。

目の前に積まれた課題の山を、いかにクリエイティブに解決していくか、日々、デザイナーとしての力量が試されています。

ストレスなんて誰にでもあります。
どれだけ寝ても疲れは全然取れません。
でも進む。
決して止まりません。

少しずつでも進み続けていれば、その積み重ねが、やがて道となり、見事な風景を創っていきます。

ちょうど、伊勢志摩のこの風景のように。
New Me



始まれば、いつか終わる。
終われば、また始まる。
出会いは必然。
別れも必然。
後ろばかり振り返らずに、ちゃんと前を向いて歩こう。

森の中で迷っても、
寂しさに負けてしまいそうになっても、
歩き続けていれば、
きっとたどり着ける。

新しい夜明けと、新しい自分に。
伊丹十三



「マージャンやパチンコ、勉強しろ!
競馬、カラオケ、犯罪者が好きそうなこと、
何でも一通りできなきゃダメだよ。」

(マルタイの女/伊丹十三)
クロレッツの自転車



知人から譲り受けた、クロレッツの自転車。
何年も雨ざらしで放置され、ホコリやらサビやらがひどかったけど、なんとか復活。
春は自転車が気持ちいい季節です。

クロレッツといえば、当時のCMで富永愛さんとキスしまくってた、愛しの我が弟、桑田君は元気でやってるのかなあ。
またあの頃みたいにバカ言いながら飲みたいね。