ミナ本



面白くて、数時間で読み切ってしまった、皆川さんの「生きる はたらく つくる」。
ジャンルこそ違えど、僕が奥さんが連日連夜語り合った自分たちのやりたかったこと、そして出来なかったことが、全部つまってた。
僕の中で、「皆川さんの人柄」だけではとても表現しきれなかったミナの世界観がどうやって育ってきたのかが、この本でようやく理解できた気がする。

肌寒いくらいの真夜中でも、読み進めるごとに全身の熱量が高くなっていくのを感じた。
もう遅すぎるかも知れないけど、もう一度だけ、自分たちのブランドをつくること、育てることに、挑んでみたくなった。
あの頃には出来なかったことが、今ならできるかも知れない。
あの頃には出会えなかった人とも、今なら出会えるかも知れない。
それよりもまず、僕と僕の奥さんが、2人で作りたかった世界と、もう一度だけ向き合ってみたい、そんな風に思えた。

ものづくりの本質、醍醐味、厳しさも含めた楽しさ。
僕は今まで、こだわりが強すぎる、とか、難しいことはいいからさ、とか、色んなことを色んな人に言われてきたし、丸く収まってればよかった場面でも、ものづくりやデザインを理解しようとさえしない相手の言動に黙ってることができない性格。
そのせいで、無駄な対立も生んできたと思うし、もらえたはずの仕事をたくさん失ってきた。

僕には、「人柄」とか「人徳」とか、確かにそういうものが欠けているんだろう。
それでも、僕には確かに見えているものがあった。
言葉や形で正しく的確に表現できない無力さが今でも本当に嫌になるけれど、僕には確かに見えているものがあったんだ。
誰にも理解できない、のではなく、理解してもらえる力がなかっただけ。
だから、代わりにそれを言葉や形にしてくれる仲間をずっと求めてきたけど、ここでも、「人柄」や「人徳」の欠如が重く立ちふさがる。

ミナ・ペルホネンに、田中景子さんと長江青さんがいたように、僕には、その2人の役割をこなしてくれる奥さんがいる。
独立したての極貧生活にも、思うようにいかないことでイライラする僕にも、彼女は常にそばにいて、放り出すことも、逃げ出すこともせず、まっすぐに向き合ってくれた。
何日もかけた作品に、迷うことなくダメ出ししてくる。
でも、その指摘はいつも正しい。
だから、いつの頃からか、彼女さえいいと言ってくれたら、もうそれで十分だと思えるようになった。
今でも、それは変わらぬまま。
彼女がいいと言ってくれたものは、絶対に間違いがない。
そう確信できるほど信頼してる、唯一無二のパートナーだ。

東京ではチヨに、三重に戻ってからはリナに出会えた。
給料とは呼べないくらいのほんのちょっとのお金しか出してあげられなかったのに、彼女たちはうちで働く毎日が楽しいと言ってくれた。
2人ともすごく優秀で、ほかの事務所に行けばエースになれる人たちだ。
彼女たちがいてくれなかったら、間違いなく今の僕はいない。
僕の人生の中で、この2人との出会いは最高の宝物。
もっともっと、一緒にいたかったなあ。
もっともっと、一緒に見たい風景があった。
僕がもし自伝を書いたら、本の半分はこの2人のことで埋まると思う。
皆川さんの本を読んで、改めて、チヨとリナに、心からありがとうって思った。

無地の服ばかり着て、ファッションにはめちゃくちゃ疎い僕でも、ミナ・ペルホネンの世界観が放つ心地よさは伝わってくる。
いい本と出合えた。
もう一度、って思えた。
これからも、丸くならずに尖っていこう。
自分の直感と本能をもっと信じてやろう。
周りの人は、ものすごく迷惑だろうけど(笑)。
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