月が綺麗ですね

前回、僕が主宰しているデザインスクール「WIPE ACADEMIA」で、ここ数か月にわたって「知性(創造的知性)」について学んでいる、ということを書きました。
俗にいう、「何を言うかが、知識。何を言わないかが、知性。」であるならば、「何をデザインするかが、知識。何をデザインしないかが、知性。」とも言えます。
今回はせっかくなので、特別に、実際にレッスンで使用した題材をもとに、皆さんとも考えてみたいと思います。
紙とペンをご用意いただき、「走っている人」の絵を描いてみてください。
上手下手は関係ありません。
構図や書き方などは自由です。
ここでのポイントは、「何を描けば、走っている、と見えるか」です。
多くの人は、横線をシャシャっと描いて、進んでいる様子を表現したり、汗が飛び散っている様子を描いたりして、走っている、と伝えているのではないかと思います。
ここまでは、「知識」です。
では、知性とは、「何を描かないか」なので、例えばシルエットだけで表現したり、止まっている人の前を何かが高速で横切った様子を描いて、見えないけど走っている人の存在を伝えようとしたり、つまりは、走っている人を描かないで、走っている人の存在を描く、ということだと言えます。
よく、「風」を表現する、あれです。
夏目漱石は、「愛してる」という言葉を使わずに、「月が綺麗ですね」という言葉で表現しました。
歌手のさだまさしさんの歌には、そのことを言わずに、そのことを伝える、という手法がたくさん見られます。
これらはまさに、知性である、と言えそうです。
もちろん、知性は知識がないと生まれないので、知識量はすごく大事です。
「知識」に命を吹き込み、熱量を持たせ、情緒豊かに、想像力を刺激する、それが知性なのだと思います。
「WIPE ACADEMIA」は、デザイナーだけのためのスクールではありません。
実際に、デザイナー以外にも、女性経営者や子育て中の女性の方もいらっしゃいます。
デザインは、デザイナーだけのものではありません。
この世の中で、デザインに関係のない人も場所も存在しません。
子育てでも、子どもに「何を言うか」ではなく、「何を言わないか」を実践することで、子どもの自発的な行動を促す効果が期待できます。
会社経営者の方であれば、社員教育にも応用できるでしょう。
「デザイン」は、目的ではなく、それぞれの目的を達成するための、最適な手段なのです。
次回のアカデミアでは、さらに知性を深く掘り下げ、知性を得るには、そしてそれをどう活用するべきかを学び、センスを磨くレッスンを行いたいと思います。
2021.04.20 06:15
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